住み続けられる地球と住まい 私たちの場合
私たちは、地球を愛し、皆様の暮らしを守り寄り添う「住まい」を愛し、少しでもその「住まい」が幸せと健康の素となることを願い、日々精進している設計事務所の集まりです。
普通は、仕事を取るために競合相手となるお互いですが、「より良き住まいをつくる作り手」としての向上を願って研鑽を積むために集まり、日々議論を重ねています。
表題にあるように、私たちの暮らしは、「後進国」と「先進国」という言葉があるように、文明開化と経済発展を是として競争し突き進んできました。その結果が、地球と生物の危機を生み出し、その変化が地球と生物の存続を許さない状況にまで達しようとしています。誰にも「止められない」人類のこの猛突進は何なのでしょうか。
「地球最後の日」、昔映画で見た覚えがあると思います。そのような地獄をシミレーションできる科学力を持ちながら、人類は盲進するしか無いのでしょうか。知恵ではなく本能として「生きる力」を、私たち人類も DNAの中に潜めているはずです。それを信じて、叡智というものがあると信じて、未来があるという世界に向かって、それこそ協同して大きく舵を切っていきたいと願っています。
これから連載していく「住まいの作り方と実践の物語」は人類の未来を描くための航跡なのです。私たちは、私達の航跡を見返しながら舵の方向を常に定めています。個人ではなく協同だからこそできることと考えています。これはとてもとても小さな船の取り組みですが、人類の巨大な客船があるとしたらその舵取りも同じようにあるべきなのではないでしょうか。現状では、議論をしながらも、人類が作り上げてしまった誰も触ることのできない「巨大な慣性」に舵を奪われてしまっているのでは無いでしょうか。舵を取るのは私たち一人一人の手以外には無いはずです。いよいよそのような緊迫した時が来てしまったのです。改めて思うことは、全てをリセットし、開拓時代に戻り、開拓ではなく共生する術を舵として選ぶことでは無いかと思うのです。
日本の建築の寿命は30年前後、長く見ても50年と思われます。これでは造るために要した資材と労力を考えたら余りにも無駄が多すぎると思います。住宅は個人の財産としてだけではなく社会の資産でもあるのです。最低100年は、使い続けてほしいのです。町並みや町のアイデンティティを考えれば2〜300年は使い続けてほしいと思います。産業廃棄物のうちの約2割が建設業、東京では現在もなお大きなビルが40年も使わないうちに巨大なプロジェクトのために解体されようとしています。
私たちがつくる住まいは、300年住宅を目指しています。300年前の民家とは異なり、たくさんの知恵と技術があればそれは可能なのです。大切なことは維持管理しやすい材料と工法の選択です。
■人類の家の歴史を凝縮して学ぶと それは社会の歴史と一体だった
身近にあり、再利用できる建材で家を作ることが原則です。そうした建材には維持管理可能な技術体系が備わっています。土(粘土)、木、竹、草、紙、石、タイル、レンガなどがその代表です。
輸送・保管倉庫・包装のための無駄なコストが無いこと、また端材が出にくい材料・工法であることも大切です。住まいを商品としたために、無駄な宣伝費や営業費がかかるようになってしまいました。
■持続可能な地球市民の「家」
美しい町並み・家並みは、私たちの文化であり、そこに住むことに誇りが持てることになります。改めて住まいが商品とされてからの醜い町並み・家並みを反省する時代になりました。SDGsの時代はそのことを私たちに問いかけています。
■さあ!今から未来に向かって舵を取ろう
私たちは自信を持って「美しい住まい」を作りましょう。そして「持続可能な住まいの姿」を伝統から学んでいきましょう。古民家はそうのように私たちに未来の道を示してくれています。
(2021.12.22丸谷博男)
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