新聞連載③「住み続けられる地球と住まい」マンション専有部

しんぶん赤旗に2022年4月1日から4月29日 毎週金曜日に連載

快適リフォーム

 これから住宅の新築やリフォームをする場合、世界中で起きている異常気象の問題もふまえ、省エネ・省資源・CO2削減を考えて計画することが重要です。
 新築マンションは現在の環境基準で建てられていますが、既存のマンションはそうではありません。新築マンションだけを基準に合わせて造っていたのでは、気象危機の解消に間に合いません。既存マンションの専有部分(住居内)のリフォームをしてこそ、効果があると考えられます。その際に大切なことを説明しましょう。
可変性を生かして 建築士とともに
 住む人の家族構成の変化や要望にしたがい、専有部分は自由に変えられます。コンクリート壁の内側部分で、マンションの構造に影響を与えない範囲での間取りの変更は可能です。
 ただし、部屋の用途や生活パターンが下階の居住者と大きくずれてしまうことは、のちに騒音や振動のトラブルになる可能性があるので気をつけましょう。
 具体的なケースを紹介します。ある新婚夫婦は住環境重視で、住まい探しをしていました。中古マンション購入を決断するには心配もあり、専門家(建築士)へ同行依頼がありました。
 建物は最寄り駅から徒歩10分、途中に保存緑地と公園があり、住環境のよさに魅力を感じ、購入を決断しました。築17年の鉄筋コンクリート造4階建ての3階住戸です。間口6・1㍍×奥行9・6㍍の中廊下タイプで、南西面にバルコニーがあります。部屋は、バルコニーに面して6畳の和室とダイニングです。

 「室内環境と寒さによる健康リスクの指針(英国保健省)」を参考に、室内の温熱環境を改善するため、次の七つのリフォームを行いました。
①省エネ対策を考え、窓の断熱性能を改善
 建物で熱の出入りが最も多い部分は窓です。夏の午後2時~3時(外気温33・4度・東京)では74%の熱が入ってきます。反対に冬の午前5時~6時(外気温0・5度・東京)では52%の熱が流出します。窓の断熱性を上げることで「省エネ、結露、防音」効果が望めます。
 しかし既存サッシ窓は共用部分なので個人では手をつけられません。そこで内側に断熱樹脂サッシとLow―e複層ガラス(表面に特殊な金属膜をコーティングしたガラス)を取り付けました。金額の割には断熱性能が高いので採用しました。
②健康的な室内環境を考え、内装材は木材、水性塗料を使用
 プラスチックやウレタンなどを使った新建材はなるべく避けました。
③快適な暮らしを考えたゆとりある間取りとバリアフリー対策
④収納不足を改善するため、作り付け収納家具を製作
⑤不便な外開き出入りドアを、音対策も考慮して吊(つ)り引き戸に交換
⑥和室の床の段差をなくす。ワンルームのリビングダイニングの間取りにしました。
⑦室内環境の改善
 内装の床材は抗菌、抗ウイルス、消臭、揮発性有機化合物を分解できる「可視光応答型光触媒」効果のあるヒノキの無垢(むく)板にしました。壁、天井には断熱、防音、不燃効果のある断熱塗料を使用しました。

「安心してリフォームを進めるための道案内役」が設計者です。
 具体的には、床のフローリングへの張り替え、間仕切りの変更、水回りの変更等の場合、管理組合に事前確認が必要です。その為には竣工(しゅんこう)図面を管理組合から入手しましょう。その後に現況調査を行い、図面と現況調査に基づき計画を進めましょう。
 設計完了後は施工者を選定し見積もりを依頼します。施工者の選定基準は、施工経験の有無、詳細な見積もりができること、近隣住戸への気配り等ができることです。
 住まいづくりの情報があふれる昨今、住まいづくりの「進め方や考え方」がわからないという話を聞くことがよくあります。紹介した事例がヒントになれば幸いです。 (了)

室温健康リスク指針

K邸平面図(改修前)

K邸平面図(改修後)

   リビング

  ダイニング

廊下

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