市立保育園の建替えに協力

LIVE LOVE 住まい lNG設計室

ING 設計室 大力 好英

設計事務所を開設して間もない頃、わが家の二人の息子が卒園した市立保育園の建替え計画があり、私が設計の仕事をしていることを知っていた父母会のメンバーから「大変不安なので是非協力して欲しい」との連絡がありました。以前勤めていた設計事務所で保育園の設計を経験していましたので多少は力になれるのかと思い協力することにしました。父母会の要望の柱は、子供達が一日のほとんどを過ごす生活の場として生き生きと生活でき、全面発達を豊かに保障できる施設であること。具体的には

(一)保育室の採光・通風に配慮すること。

(二)保育室の内装には木を活かすこと。

(三)園庭の大きな銀杏の木は残したい。

(四)職員が働き易く、使い易いこと。

(五)計画の作成にあたっては市・職員・父母会との話し合いの場を設けること。

(六)工事中の安全と仮園舎を確保する。以上の要望に対して市の計画案は最悪のも   のでした。

現在の園舎は木造の平屋建てで、北側と東側の道路に面して角地にL字型に建っているので園庭は南側と西側に開けています。ところが市の最初の計画では仮園舎を現在の園舎の一部を利用し、不足分を園庭のど真ん中に建てる計画でした。これはコスト削減の発想からスタートしたもので、子供達が一日のほとんどを過ごす生活の場として到底受け入れることのできない計画案です。早急に計画を変更させ、要望を実現させるために父母会の計画案を作成することになりました。

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その後、市の厚生委員会で市の計画案の問題点として園児への安全・騒音・園庭の日照について父母会からの要請で専門家として説明を行いました。その結果、委員会でも計画案の問題を客観的に理解することができました。ところがその後、事はスンナリとは進みませんでした。市は職員と父母会の話し合いの場で「国と都の補助を受けて計画しているのでタイムスケジュールがあり、もう待てない。問題点を具体的に目に見える形で示して欲しい。もし、この補助が受けられなくなったら誰が責任を取るのか」とせまり、職員からはもうこれ以上は無理ではないかと動揺がありました。

私も参加していましたので「時間はまだ充分あること、父母会は対案と問題点も示している、私はかつて仕事で同じように国と都の補助を受けた保育園建設で経験している、時間はまだあるので動揺することはない」と反論しました。市の建設計画予算はとても甘く、補助金だけで建設計画を考えていてとても足りませんでしたので、不足分がどれくらいかを助言しました。

その後、議会で建設予算計画の甘さが問題になったようですが何とか予算が確保され、計画案も仮園舎の件も、父母会の要望の大半が取り入れられた園舎が完成しました。思えばスタート時、どれくらい父母、職員の要望が届くか見通しは暗く、門前払いさえ予想されたことでした。それまで市立保育園建設に父母や職員が意見、要望を申し入れるなど考えられなかったことだからです。これは市政誕生以来はじめてのできごとだそうです。

『 LIVE LOVE 』 第五章 三 2009.10

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